日本からニュージーランドへ輸送される中古車は、自動車専用船に船積みされ、約1か月の航海を経てニュージーランドへ到着します。今日はそんな自動車専用船が、あることのために最短航路を選ばず、わざわざ遠回りする航路を選んでいるのですが、それは何故?という話です。
時間と燃料のロスを顧みず、自動車専用船を配船する船会社が遠回りのルートを選ぶ訳。
それはニタリクジラと船との衝突事故を避けるためなのです。
また、万が一衝突してしまった場合に、少しでもクジラへ及ぼす衝撃を抑えるように、クジラの出没場所であるHauraki 湾を通過する際に、スピードを下げたりもしています。
このルートやスピードの変更は、各船会社が自発的に行っている配慮です。 このHauraki湾には、ニタリクジラだけでなく、別種のクジラやイルカなども良く見られる場所で、
この湾を通過する際は細心の注意を払うと共に、それらの哺乳類を発見したら、湾の管理課を通じて他の通過中の他船にも注意を促すそうです。
ニュージーランド近くに生息するニタリクジラは200頭ほどしか確認されておらず、絶滅の危機に瀕しています。
あまり目立たないクジラでありながら、海面際を泳いで餌を捕ることが多く、船と衝突し死んでしまうこともあるのです。
船会社が配慮をしても、事故を完全に防げるわけではありません。
今後の課題は、ニタリクジラの生態をより理解することで、人間がその生活を傷つけないように工夫していくこと、
またある船会社はその研究のためのサポートを行っています。